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書きおろし・第2回 わんの一番長い日の巻き [犬ばか歳時記]

書きおろし・第2回 わんの一番長い日の巻き

犬を飼う者として年に1回忘れてはならない行事、それは狂犬病予防注射。
うちのあたりは、毎年春になると郵便でお知らせがきて、注射日と場所が告知されます。もちろん、「枚方の狂犬」ことチルーのもとにも、お知らせがやってきました。

場所は、うちから歩いてゆける距離の公民館。
普段の散歩コースからは外れているので、そっちへ連れて行こうとすると、敏感な犬は、「ややっ、きょうは注射だな」とわかるようです。
去年のチルーは、公民館へ向かう道すがら、1回吐きました。
緊張して、気持ちが悪くなったのだと思います。今年は、大丈夫でした。

注射の好きな犬などいないと思いますが、チルーは無類の注射嫌いで、まだ針をさしていないのに「がるる」と怒ります。
そもそもの発端は、子犬のときの初めてのワクチン注射。
直前に、おしりの穴に体温計を入れて体温を測ったのがトラウマになっているようで、白衣を着た獣医さんを見ると、「我、ハズカシメを受ケズ!」と一目散に逃げ出してしまうのです。

なので、公民館が近づいたら、チルーを抱きあげ(かなり重い)、獣医さんが視界に入らぬように後ろ向きに近づいていきました。
獣医さんも、暗黙の了解のごとく、柱の陰からさりげなく、すっと出てきてブスッと注射針を犬の背中に射しました。
チルーは「きゅー」と小さく1回鳴きましたが、気づけば注射が終わった後でした。
よその利口なレトリーバーなどは、きちんとお座りして獣医さんに背中を向け、注射をさされても「ぐっ」と言うだけでこらえていて、えらいナアと思います。

初めて狂犬病注射に行ったときは、私がまだ段取りをわきまえていなかったので、チルーはすったもんだのあげく「ぎゃう! ぎょえー!」と町内に響き渡るおたけびを発したものです。
わたしは周囲に「すんません」と恐縮しながら家に帰り、自分が耳にピアスの穴を開けたときも断末魔の叫びを上げたことを思い出し、チルーに好物の煮干しをやりました。
あれから比べれば、私も犬も、成長したものです。

    


注射が済むと、支払いをすませ、犬シールと鑑札札をもらいます。
世の中にさまざまな犬グッズあれど、わたしはこの「鑑札札」ほどしびれる犬グッズはないと思います。
だって一匹にひとつの番号だもの。
カンサツフダという発音もいいよね。

「犬」シールも、都道府県によってデザインがちがうので、他府県に行くと、人のお宅の玄関先に貼ってある「犬」シールの写真を撮ったりします(怪しまれる)。
毎年貼り替えずに、どんどん翌年の「犬」シールをとなりに並べて貼っていくお家もあります。
並んだシールが、ある年からとぎれて、そのままになっていると、「あ、ここんちの犬、あの世へいっちゃったのかな。さみしいだろうな」と想像するんです。(シールでそこまで広げるな?)

         
注射が終わって昼寝をしているチルー。
どうも注射の悪夢をみているようで、寝ながら小さく吠えています。


来年も無事に注射できるといいな~。

 


2006-05-25 17:13  nice!(0)  トラックバック(1) 

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