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書きおろし・第11回「ストーブいのち」の巻 [犬ばか歳時記]

犬ばか歳時記
書きおろし・第11回「ストーブいのち」の巻

犬ばかの皆さま。
師走に入り、めっきり寒くなりました。
もう雪が降っている地域もあることでしょう。
雪国のわんこたちは元気でしょうか。

朝、目を覚まして、窓を開けると、
犬小屋から飛び出たチルーさんが一目散に飛び込んできます。
チルーさんのわきの下はとてもあたたかいので、
そこに手を入れて、暖をとらせていただきます。

けれどもチルーさんの三角耳はとてもつめたくなっているので、
今度は私が耳を包んであっためてやります。
チルーさんはとても気持ちよさそうです。
わたしは、チルーさんの耳をさわりながら、
「ミミガーにして食べたらおいしそうだなあ」
と、少しだけ思います。

さて、外の犬小屋に住んでいるチルーさん。
新年には小屋の入口に小さな注連縄をつけ、
無事に歳神様をお迎えする信心深い犬ですが、
とにかく吹きさらしの小屋が寒い。

三角屋根と壁のあいだから空が見えるあばらやは、
江戸時代の長屋のようです。
くさりにつながれていないぶん、自由っちゃ自由なものの、
ぴゅーぴゅー吹きすさぶ北風が、がまんならねえ。
体にはふさふさの毛は生えてはいるけれども、
鼻先、耳先、足先が冷たい。
飼い主がファミリー・ショップ「フジ」にて500円で手に入れた
フリースひざかけを小屋の床に敷いてもらい、
それを自分用にぐしゃぐしゃにして、その上にとぐろを巻いて寝る。

それでも寒い、ってんで、飼い主の遠赤外線靴下を
左足だけ失敬してきて、それをまるめて下にひいて眠る。
鼻先は濡れていてつめたいから、
とぐろを巻いた自分のお腹に鼻先をつっこんで眠る。


晴れた日中には、フリース毛布を外に引っ張り出して眠ります。
フリースは齧られて穴だらけ。


それでもやっぱり震えてしまう日は、
飼い主が窓を少しあけた時に鼻を突っ込み家の中へ強行突入、
ガスストーブ前に直行であります。
 
犬には毛がわんさと生えているので、ストーブの熱風を受けていると、
毛と毛の間にあたたかい空気がためこまれていきます。
30分もストーブにへばりついていると、犬というよりも、
ふかふかの温かいカタマリになります。

気がつけば、ふさふさの尻尾は熱風口にくっつき、かなり熱くなっている。
まさに、尻に火が着く寸前5秒前です。
この状態になると、チルーさんの温風チャージ完了。
また北風吹きすさぶ外へと飛び出してゆきます。
天然の毛皮をあっためたのだから、しばらくは大丈夫なのです。


いろんな犬の飼い主に聞いてみましたが、
どの犬も、ストーブに当たるのが好きみたいですね。
犬は寒さに強いと言いますが、「がまんできる」のであって、
「寒いのが大好き」なわけではないようです。

あっ。知らぬ間に、人のマフラーを枕に……。
こういうこと、よくありますよね。

 


2006-12-19 20:01  nice!(0)  トラックバック(0) 

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