書きおろし・第6回 デジタル・うんちくの巻 [犬ばか歳時記]
お食事中の方は、あとで読んでください。
拙宅の犬は、雨に濡れるのが大嫌いです。
素朴な雑種なので、雨に濡れると、のらいぬにしか見えず、
それを気にしているのか、どうなのか分かりませんが、
強い雨が降っている日は、小屋にひきこもって散歩に出ません。
散歩に出ないと、うんこが出ません。
それでも、えさは食べます。
翌日、晴れて散歩に出ると、もちろん、きのうの分のうんこも出ます。
しかし、不思議なことに、かならず、まず1回分をして、
それからしばらく歩いて、また別の場所でくるくる回りだし、
次の1回分をするのです。
チルーの「うんこ袋」は、スーパーのビニール袋です。
スコップは持たず、ビニールで直接、うんこをがしっとつかんで、
裏返しにしてから、口のところを結びます。
このやり方だと、1回しか使えません。
だから、雨で散歩をさぼった翌日には、ビニール袋を2個、持っていくようにしています。
どうして、いっぺんに出ないのだろうか?
散歩しながら考えました。そして、あるひとつの、仮説にたどりつきました。
犬は、「だめ/よい」「食う/食わない」「行く/行かない」等、
選択肢がいつも0か1です。
0か1かの選択を繰り返していくことによって、生きていると言えましょう。
見た目はアナログの雑種でも、頭のなかはデジタルということです。
思い出してみてください。
「足し算のできる犬」が、「2+3=」の答え「5」という時、
わん わん わん わん わん と、5回吠えることで、「5」を表現します。ほんとうに2+3が出来ているかどうかはともかく、
犬にとって、5=1+1+1+1+1として、表されるものである。
すべての整数は、1が何個あるか、という形で表される。
ということは、うんこの量2は、1+1という形で、処理されるべきである!!
で、あるからして、チルーがうんこをしなかった翌日、
1回の散歩中に、2回に分けてうんこをするのは、チルーの脳が、
0と1で処理をする、デジタルであるからだ……と。
だとしたら、アイボもびっくりだね!